日曜、明大でやっていたデジタルコンテンツのシンポジウムを見てきた。参加者は宮下芳明さん(明大講師)、岩井俊雄さん(Electroplankton、TENORI-ON等)、佐々木渉さん(「初音ミク」企画)、武田双雲さん(書道家)、平野友康さん(Digitalstage代表)、水口哲也さん(Rez、ルミネス、元気ロケッツ等)。豪華な顔ぶれ。タイムキープが途中まで忘れられていた関係でアンバランスな進行になってしまっていたけど、それぞれの人の話は面白かった。撮影禁止だったので写真が無くてすまぬ。
岩井俊雄さんの電子楽器TENORI-ONは、Korgに先に似たような外見のもの(Kaoss Pad KP3)を出されちゃったなあと思ってたけど、実際に動いてる所を見て設計思想を聞くと全然別物だという事を把握できた(TENORI-ONは両手持ちを前提としていて、客側からも見えるように裏面も光る)。プレゼンでは開発過程を紹介していたけれど、やっぱり「機能する」という所から「製品として売れる」というレベルまで持っていくのは話を聞いただけでもすげー大変そう。安全性試験も必要だし、本体の製造過程でもロボットで表面を研磨したりと大掛かりな設備も必要だし。
一つ気になったのは、最初のライブ演奏で7拍子に聞こえる曲を演奏していた所。TENORI-ONは16×16個縦横に並んだLEDを操作するから、4・8・16拍子を前提としているように思えるんだけど、どうやってるんだろう?
佐々木渉さんは…正直話が長かったけどw(サンプリングという概念や音声合成の説明も含めて、実に時間の半分以上を喋り切る!w)、VOCALOIDシリーズというプロダクトに対する考え方が興味深かった。初音ミクに身長や体重といったプロフィールが設計されているのも、適当な数字というわけでもなく、声質からおおまかに逆算してつけているという。将来的に音声合成が気道や声帯のモデリングによってされるようにでもなって、それこそ声に影響するパラメータとして身長がいじれるようになるかもしれない、というのは面白い。
ただ気のせいかもしれないけど、会場で佐々木さんが動かしていたVOCALOID新作「鏡音リン」の声が、(一応ニコニコ動画で初音ミクの声は散々耳にしたつもりなんだけども)言われるまで初音ミクと違う声だという事に気付けなかった。その時の「VOCALOID新作は一人の声優による二種類の声が入る」という発言は、翌日「鏡音リン・レン」という形で明らかになったけど、ちゃんと聞き分けられるものになっているか少し気になる。まあ少しだけしか聞いてないので、多分いざ出てみたら全然違う声でしたってオチだろうと思うけど。
この他、武田さんが超特急で語った書道と新しいメディアとの連携の話、平野さんが語ったDigitalstageのソフトウェアの開発思想(「っていうか大企業嫌い!」発言は共感すると共に笑ったw)、また水口さんが語ったスピード感の重要性など、色々刺激的な話を聞けた。全体を通しては、「構造が美しいものはひっくり返したり変換したりしても美しい」、「ただ内なるものを放出した作品を作るだけではなく『ツールやプラットフォーム』を作る」、という言葉が特に印象に残った。頭の隅に置いておきたい。