一週間前に「恋空」を読み終わり、続いてモバゲーの小説大賞受賞作「最愛の君へ。」を読む。「恋空」の半分程の量なのであっさり読み終わる。多分いないと思うけどネタバレ注意。
「恋空」
- 一応張った伏線は殆ど回収しており、当初想像していたほどシッチャカメッチャカな展開ではなかった。出したっきり忘れられてるキャラは数人いるが。
- 最初の100ページ程はなかなかキツかったが、作者自身が書くのに慣れてきたのか、序盤にあったような「いきなりレイプされる」だの「数ページでいきなり精神を病んで入院して自殺未遂」だのといった超展開はなりを潜めた。
- 場面によって描写の細かさやリアリティにムラがある。「事実を元にしたフィクション」という事になっているので、描写が詳しい所は作者が似た事を実体験しており、荒い所は想像で書いているのだろう。
「最愛の君へ。」
- 「恋空」と違って物語と現実を混ぜようとする意図が無いためか、主人公の設定は前者に比べると非現実的。流石に高校生がBMW乗り回すのは無理がある。
- 基本的に一人称なのは携帯小説のデフォルトのようだが、主人公以外の人物の描写をするために視点が断り無く別の人に変わる事がある。もちろん普通の小説でも主観視点を乗り換えていく事はあるのだが、これは別に叙述トリックがあるわけでもなく、なんだか仕方無くやってるような感じがする。また、他に描写のしようが無い時だけ急に三人称に変わる事もある。
- 意識してかは知らないが、ページの区切りの間で、携帯特有の通信にかかる時間を考慮してるように思えた。
いずれの作品もそうだが、文章に漫画の影響が強く見える。モノローグは漫画でコマの外に書いてあったらすんなりはまりそうな文章だし、音が鳴るような場面で事柄を描写するのではなく擬音をそのまま書いてしまうのも、漫画を真似ていると考えれば納得が行く。逆に日本の漫画のお約束や文法を知らない人はまずそっちから把握しないと読めないかも。
どちらの作品も、主人公と恋人が周囲の邪魔やらモトカノの妬みやらに耐えながら愛を貫き、最後に片方が死ぬという筋。
とはいえ、元々恋愛ものは携帯小説でなくても人気を集めやすいし、かつ今回読んだのは最小公倍数的な人気を集めてる作品だと思うので、もう少し狭く深い支持を集める作品には違うジャンルのもあるのかもしれない。実際にあるのかはそこまで詳しくまだ見ていないので分からないが。